慢性疼痛・痛覚過敏症・線維筋痛症
に対する東洋医学(漢方薬・鍼灸)の効果


慢性疼痛=痛覚過敏症=線維筋痛症に対する漢方薬の効果について、

私は、ある種の生薬が、漢方医学の古典、成書、湯剤の使用経験より、慢性疼痛=痛覚過敏症=線維筋痛症に効果があると考えた。さらに、下記、文献より、ある種の漢方薬のRCS(反復低温ストレス)による痛覚過敏状態改善作用、痛覚過敏予防作用を確認した。そこで、私は、実際に、繊維筋痛症と診断された慢性疼痛患者に、これらの生薬を服用してもらい大変よい効果を得たので、ここに紹介する。
岡山大学医学博士大山博行


J.Pharmacobio-Dyn.,13,49−56(1990) Antinociceptive Effects of Oriental Medicine TJ-8023 in Mice and Rats.

漢方薬の鎮痛作用‐慢性疼痛モデルの確立と漢方合剤‐   京都大学  倉石 泰 、佐藤 公道

T.はじめに
 疼痛性疾患に適用される漢方処方は合方も数えると数十処方にのぼる。しかしながら、それら漢方処方の適用を説明する薬理学的研究は極めて限られている。ここでは、疼痛性疾患に用いられる漢方処方の1つとして漢方薬TJ-8023を取りあげ、その鎮痛作用について述べる。
 TJ-8023は、桂枝、生姜、甘草、大棗、麻黄、細辛、附子の7種類の生薬で構成されている。適用の疼痛性疾患として、神経痛、リウマチ、腰痛、季節の変わりめに老人にみられる痛み、癌性疼痛などが挙げられている。このような適応症を考慮すると、TJ-8023の鎮痛作用の薬理学的評価には慢性疼痛モデル動物を用いることが適切であると考えられる。ここでは、痛覚過敏を示す慢性疼痛モデルである反復低温ストレスマウスとアジュバント関節炎ラットとにおけるTJ-8023の鎮痛作用について述べる。

U.反復低温ストレスマウスにおける漢方薬TJ-8023の鎮痛作用
 ヒトではストレスにより痛みを訴え、ストレスからの解放によりその痛みが軽減することがよくある。しかしながら動物の場合、足への電気ショック刺激、拘束、強制水泳、回転、冷刺激などによりストレスを加えると一般に侵害刺激に対する反応性の低下(痛覚鈍麻)が生じる。一方、マウスやラットを一定時間ごとに室温と低温環境下での飼育を数日間交互に繰り返す反復低温ストレスを加えると、侵害刺激に対する反応性の増大(痛覚過敏)を生じることが明らかにされている。この反復低温ストレスによる痛覚過敏は一般に動物にみられるストレス誘発鎮痛とは逆の現象である点が興味深い。TJ-8023の適応症に季節の変わりめに老人にみられる痛みなどが挙げられていることを考慮して、反復低温ストレスマウスの痛覚過敏に対するこの漢方処方が鎮痛作用を発現するか調べた。

1.予防的効果
 まず、反復低温ストレスによる痛覚過敏に対するTJ-8023の反復経口投与の予防的効果を検討した。マウスへの反復低温ストレスの負荷は、Hataらの方法に準じて行った。すなわち、マウスの飼育環境温度を午前10時から午後5時まで1時間ごとに室温(24℃)と低温(4℃)とに交互に変化させ、午後5時から翌日の午前10時までの飼育環境温度は低温とした。侵害受容閾値は尾部圧刺激法により測定した。
 反復低温ストレスの負荷により、侵害受容閾値が5日間にわたって徐々に低下し、ストレス負荷の中止後徐々に回復した(図1)。TJ-8023を1日300mg/kg反復経口投与すると、反復低温ストレスによる侵害受容閾値の低下が有意に抑制された(図1)。1日100mg/kgの用量では5日間にわたる効果は統計的に有意ではなかったが、5日目の侵害受容閾値は対照群よりも有意に高かった(図1)。従って、TJ-8023は反復低温ストレスによる痛覚過敏の発現に対して予防的効果を有していると言える。

2.治療的効果
 反復低温ストレスを負荷している期間中は薬物の単回投与の効果の時間経過を調べることが困難である。また、薬物の治療効果を調べるには、その期間侵害受容閾値が安定していることが望ましい。そこで侵害受容閾値の低下がより速やかで、更に長期間安定した侵害受容閾値の低下が得られるための反復低温ストレス負荷の条件を検討したところ、昼間の飼育環境温度の室温(24℃)と低温(4℃)との交互変化を30分ごとにすることが最適であることが分かった。図2に30分ごとと1時間ごとの反復低温ストレス負荷による侵害受容閾値の変化を比較した。1時間反復低温ストレスでは4、5日間にわたって侵害受容閾値が緩やかに低下したのに比較して、30分間反復低温ストレス負荷では侵害受容閾値の低下がより速やかであり、2日間で最大の侵害受容閾値の低下が得られた。30分間反復低温ストレスを3日間以上続けても、侵害受容閾値はそれ以上低下しなかった。また、3日目以降は夜間の飼育を低温(4℃)で行うことにより、昼間の飼育を室温下に行っても長期間安定した侵害受容閾値の低下を維持することができた。(図2)。夜間の低温飼育も中止すると、侵害受容閾値の低下は経日的に徐々に回復した。
 30分間反復低温ストレス負荷により侵害受容閾値の低下が安定した3日目にTJ-8023の単回投与の効果を調べたのが図3である。反復低温ストレスマウスに対して TJ-8023(30,100mg/kg)は用量依存的に抗侵害受容作用を発現した。非ストレスマウスではTJ-8023(100mg/kg)は全く抗侵害受容作用を示さなかった。この結果は、TJ-8023が急性の痛覚の抑制よりも、痛覚過敏の病態でより有効に鎮痛作用を発現する可能性を示唆している。抗炎症性鎮痛薬diclofenac sodium(5mg/kg)は、反復低温ストレスマウスの侵害受容閾値に対してわずかに上昇させる傾向を示したのみであった(図3)。
 反復低温ストレスによる侵害受容閾値の低下の発現機序に関しては、交感神経の緊張低下、脊髄への下行性抑制系の機能低下などの指摘がある。著者らは、脊髄後角におけるサブスタンスPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド作動性シナプスの伝達が反復低温ストレスにより亢進することを見いだしている。このモデル動物は漢方処方の鎮痛作用に対して極めて感受性の高い点が注目され、鎮痛薬の薬理学的評価におけるこのモデル動物の有用性を高めるためにも、この痛覚過敏の発現機序の詳細の解明が必要である。

V. アジュバント関節炎ラットにおけるTJ-8023の鎮痛作用
 TJ-8023の適応症の1つにリウマチ特に慢性関節リウマチがある。ラットのアジュバント誘発関節炎は、その病理所見および発症機序がヒトの慢性関節リウマチに類似しており、慢性疼痛モデルとしても有用なモデルである。アジュバント関節炎ラットを鎮痛試験に使用する際には、関節の挟み刺激により惹起される鳴啼ないしもがき反応、関節の屈曲あるいは伸展により惹起される鳴啼反応、および自発的に起こる後肢による体幹の引っかき行動などが侵害受容反応の指標として使用されてきた。著者らは、鎮痛試験法としての簡便性、客観性などを考慮して、後肢の圧刺激により惹起されるもがき反応を侵害受容閾値とした。また、炎症の程度の指標として後肢の腫脹(体積)を測定した。

1.予防的効果
 アジュバント(ヒト結核死菌の鉱物油懸蜀液)をラットの一側後肢に皮内接種すると、非接種後肢の圧刺激に対する侵害受容閾値は、最初の数日間で急激に低下し、その後2週間以上にわたって安定した痛覚過敏状態が得られた(図4aの溶媒処理群)。一方、非接種後肢の腫脹は接種翌日に既にほぼ最大となり、少なくとも3週間持続した(図4b)。アジュバント接種の翌日から漢方薬TJ-8023を1日100mg/kg反復経口投与すると、溶媒処置対照群に比較して侵害受容閾値の低下を軽度であるが有意に抑制した(図4a)。従って、漢方薬TJ-8023は、アジュバント関節炎のラットの痛覚過敏発現に対して予防効果があると言える。漢方薬TJ-8023は後肢の腫脹(図4b)には影響しなかった。TJ−8023の構成生薬の1つである修治附子(TJCD−001)は、1日100mg/kg反復経口投与しても、侵害受容閾値(図4a)及び後肢の腫脹(図4b)の変化に対照群との間に有意な相違が認められなかった。

2.治療的効果
 鎮痛薬は臨床において一般に治療的効果を期待して使用する。そこで次に、十分に関節炎が発症、痛覚過敏状態が持続した後(アジュバント接種後16日目)に薬物の経口投与を開始し治療的効果を調べた。TJ-8023の1日120mg/kg反復経口投与では侵害受容閾値に対照群との間で有意な差異が認められなかった(図5a)。しかし、用量を1日600mg/kgと増量すると、侵害受容閾値が有意に上昇した(図5a)。また、アジュバント接種後26日目に投与を中止すると、侵害受容閾値は再び低下し薬物の投与前のレベルまで戻った。
 この結果は、投与期間中の薬物の効果を裏付けている。TJ-8023は、120および600mg/kgの両用量で後肢の体積には影響しなかった(図5b)。
 Diclofenacは、症状の重いリウマチ様関節炎患者に好んで使用される鎮痛効果の強い非ステロイド性抗炎症薬である。Diclofenac sodiumを1日2.5mg/kgの用量で反復経口投与すると、TJ-8023の600mg/kgよりわずかに強い侵害受容閾値の上昇作用が観察された(図5a)。この作用も投与の中止により減弱した。また、アジュバント接種後22および25日目で後肢の腫脹も抑制される傾向がみられた(図5b)。   


3.サブスタンスP含有一次感覚神経に対する作用
 脊髄後角で一次感覚神経の終末から遊離されるサブスタンスPは痛覚伝達物質の有力な候補である。アジュバント関節炎ラットでは、脊髄後角からのサブスタンスP遊離量が増加し、一次感覚神経の細胞体が存在する後根神経節におけるサブスタンスPの生合成が増加する。そこで、アジュバント関節炎ラットの一次感覚神経におけるサブスタンスPの動態に及ぼすTJ-8023の影響を調べた。
 アジュバント関節炎ラットの後根神経節(第4〜第6腰髄)中のサブスタンスP濃度は非接種ラットの1.44倍に増加した(図6)。TJ-8023の鎮痛量(1日600mg/kg)を図5のスケジュールに従って投与したが、アジュバント接種によるサブスタンスP濃度増加は抑制されなかった(図6)。一方、抗炎症性鎮痛薬diclofenac(1日3mg/kg)は、アジュバント接種によるサブスタンスP濃度の増加を対照群の1.15倍にまで抑制した。
 Capsaicinを脊髄に適用すると一次感覚神経に選択的に作用してサブスタンスPを遊離することが知られている。ラットの脊髄腰膨大部の背側半分の切片をin vitro灌流し、灌流液中にcapsaicin(3?M)を添加して誘発されるサブスタンスP遊離量が、アジュバント関節炎ラットで増加した(図7)。しかし、TJ-8023の反復経口投与(1日600mg/kg)では、このサブスタンスP遊離量増加に顕著な影響を及ぼさなかった(図7)。
 以上の結果は、アジュバント関節炎ラットに対するTJ-8023の抗侵害受容作用が、抗炎症作用などの末梢作用およびサブスタンスP含有一次感覚神経に対する直接作用によるものではなく、脊髄後角あるいはそれより上位の中枢神経系での作用による可能性を示唆している。反復低温ストレスによる痛覚過敏がdiclofenacに感受性が高いことから、TJ-8023の抗侵害受容作用の発現機序はdiclofenacとは異なると考えられる。今後、反復低温ストレスによる痛覚過敏に対する本漢方方剤の抑制作用機序を1抜き処方の使用も含めて検討していきたいと考えている。

W. まとめ
 疼痛性疾患に用いられる漢方処方の1つとして漢方薬TJ-8023を取りあげ、2種類の痛覚過敏を示す慢性疼痛モデル(反復低温ストレスマウスとアジュバント関節炎ラット)における鎮痛作用について述べた。漢方処方の鎮痛作用の薬理学的評価には、このような慢性疼痛モデル動物の使用が重要なかぎとなろう。

つづく、


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