開豊 瓊玉膏

1.瓊玉膏(不老長寿の薬)の名称の由来
「瓊」の字は『玉篇』を見ると、「美玉」、「赤玉」と記録されている。また「瓊」を用いた単語としては「瓊樓(王の宮殿の意)」、「瓊杯(玉で作った杯の意)」がある。
 「瓊」の字は最上の美と大切の意味ををしている。昔から最高の美しい碧玉を表現する際に「瓊玉」の字が使われた。また「瓊枝玉葉」という言葉があるが、これは皇族の子孫のことである。かつて、皇帝に献上する貴重品を至宝の玉という意味を持たせるために、「瓊玉」と表現したこともあった。「膏」は「なめらかな味の良いもの」の意味もある。これにより「瓊玉膏」という名称は、薬の中でも最高の称号であることがわかる。
 瓊玉膏は皇帝の長寿のための補助薬として、応急薬の牛黄清心元と共に、皇室の2大名薬に数えられた。元の皇帝であるクビライ・カーンは、健康と精力のために好んで飲み、皇室の女子らと名門家の貴婦人達も美容のために瓊玉膏を愛用した。このように顔を玉のように手入れをするために服用したとの意味で瓊玉膏と名づけられてといわれている。
 瓊玉膏は南宋の医師である洪遵が編纂した『洪氏経験方』(1170年)に収載され、その内容をみると「人参」が「新羅人参」という名称で記載されている。これにより朝鮮の高麗人参が既に世界的薬剤として名声を得ていることが分かる。
 瓊玉膏は東洋の名薬として東アジアの国々が製造したが世界的品質の高麗人参で製造した瓊玉膏が最優秀品質だと評価されている。

2.瓊玉膏を構成している生薬
 不良長寿の薬の瓊玉膏を構成している生薬はどんなものなのであろうか。また現在でも多くの方に服用されているといえども、瓊玉膏という薬名の薬が、数百年間名薬として伝えられ、科学万能時代の現在でも愛用されているというのは不思議に思われる。この疑問を整理して説明する。
 瓊玉膏の基本処方:生地黄取汁16斤、人参24両、白茯苓48両、白蜜(蜂蜜)十斤である。また、瓊玉膏の基本処方に次の(1)、(2)、(3)の薬剤を加味して多角度に利用されている。(1)一方面(琥珀、沈香)各五銭(2)一方加(天門冬、枸杞子)各一斤(益壽永真膏という)(3)一方加(天門冬、麦門冬、地骨皮)各八両になっている。

1)神秘の霊薬人参
 人参は古来より東洋で愛用されてきた。西洋では東洋でいう「人参」が知られていなかったため、赤く甘い根を人参と呼んだ。甘い根はセリ科の植物、東洋でいう人参はウコギ科の植物で全く違う種である。人参の中でも高麗人参が最貴重品として昔から珍重されてきた。
 中国の皇帝に献上される最上品は朝鮮産高麗人参であった。また朝鮮時代には高麗人参が最高級の貿易品で、朝鮮の高麗人参と中国の名物である絹織物と物々交換された。人参は地域、土壌または気候によって品質が異なり、朝鮮産高麗人参を最高品として認めた。
 韓国の錦山が人参の最大栽培地であり、全生産量の70〜80%が集散される最大集散地である。またここに錦山人参の伝説が残る。
 1500年前、錦山邑南夷面城功里部落に姜姓の在野の学者(士人)がいた。姜氏は親孝行であったが、父親は既に亡く、母親と二人で貧相な暮らしをしていた。ある日、母親が動くことができないほどの重病を患い、苦しんでいた。色々とよい薬を使っても母の容態は徐々に悪化し、治らないため、悩んでいた姜氏は錦山の名山である進楽山の観音窟で、母の回復を祈って百日祈とう祷を行った。ある日、夢に仙神霊があらわれ、「進楽山の観音峰の岩壁に行くと赤い実が3つついている草がある。その草の根を煎じて湯にして飲ませれば、母の病気は治り、君の願いは通ずる」と言われたため、姜氏は不思議に思い、翌日の早朝、夢でみた岩壁へ行くと、赤い実が3つついている草があったので、その根を掘り、煎じて湯にして母に飲ませると、母の病気は全快した。その草は参(山参)であった。姜氏はその種子を庭に植え、根が人間の形をしていることから、参を人参を名付けた。その後、錦山が人参の栽培地を最大集散地になったとの伝説がある。そのため、人参を霊薬とも呼んでいる。
 植物あるいは穀物等の農作物は、田や畑に植えて毎年収穫するが、人参は1回の栽培期間が4〜6年を要する。人参を収穫した後10〜15年は、人参をはじめ、どのような農作物も栽培できない。その畑は空畑となり、堆肥等で土を肥やすと、穀物等の栽培が可能になる。それほど人参は土の栄養分を要求するものなのである。また人参は何処でも栽培ができるものではない。地域、土壌、気候等によって、人参の品質が異なる。著者は若い頃、『加賀藩の秘薬』という本を著した薬学者であり、薬史学者でおられた三浦孝次教授から生薬の活性を学ぶための薬理学を伝授された際、高麗人参に関するお話をお聞きしたことがある。江戸時代に長野県で人参を栽培していた藩役が、開城高麗人参の種子とその栽培法を得るために、あ者に変装し、長野県を出発して朝鮮元山を経由し、開城に到着して何とか人参畑での仕事についた。3年間一生懸命に仕事をしたことにより、種子と栽培法を得て長野県に帰り、長野県でも現地と同じ高麗人参が、元々栽培していた長野人参と同じような人参になってしまった事があった。このことは本には書けなかったと私の耳にそっとお聞かせ下さったことが思い出される。それほど人参は成長条件に敏感な農作物ともいえる。


2)人参の七大効能
(1)補気救脱:元気をつけ、虚弱した身体を救うと知られているが科学的研究結果によって、抗疲労、疲労回復作用、老齢動物の学習力改善、運動能力改善、記憶力改善の報告がされている。

(2)益血復脈:血液をつくり、循環をよくして、滞っている血液の流れを取り戻すという古書の記録から、赤血球、ヘモグロビン増加作用等を科学的に確認している。

(3)養心安神:心を養うというのは精神を安定させる意味になる。人参は抗ストレス、抗痙攣作用が報告されている。

(4)生津止渇:生津とは内分泌の意味を持ち、渇は糖尿の渇症を示す。静岡大学の矢内原教授は朝鮮人参から血糖降下作用を示す成分(DPG3-2)が得られ、その成分にインスリン分泌亢進作用が認められたという報告をしているが、糖尿病治療方剤には朝鮮人参が頻用されている。

(5)補肺定喘:肺と気管を補し安定させて喘息を治す。

(6)健脾定喘:消火器機能を強化し、下痢を止める。これの科学的根拠として、朝鮮人参には消化管ホルモンと類似したアミノ酸配列をもつペプチドの存在が強く示唆されている。これが他のタンパク質と結合することにより生理活性ペプチドが安定化され、そのほかペプチド腸管吸収を促進するのではないかと推測されている。朝鮮人参は脾胃を強くするのである。

(7)托毒合瘍:毒と結合して解毒し腫瘡を治す。
 世界の生薬学者や植物学者らは、地球上にある植物に対し、様々な研究をしているが、高麗人参ほど多岐に渡って研究された植物は他にない。また高麗人参より多くの成分と多様な薬効を持った植物は未だに発見されていない。人参は明薬中の明薬である。
 人参は不思議な植物で、一方的な効能を持っているだけでなく、相対する効能を同時に持っている。人参の成分であるginsenoside Rb,Rc群には中枢神経に対し、抑制的作用(精神安定、鎮痛、抗痙攣、血圧降下作用)があるが、逆にginsenoside Rg群は中枢神経興奮的作用(抗疲労作用、疲労回復作用、抗ストレス作用)があることが示されている。またginsenoside Rb1,Rg1においては共に血圧作用があるが、ginsenoside Rc,Rf,Rg1,Rg2等のtriol系のサポニンにはRb1、Rb,Rc,Rdのdiol系よりも強い血管拡張作用による血流量の増加が報告されている。
 即ち人参は効能を調節する両面性のある作用を持った植物であることが示された。後に、生命を持っているすべての植物には自身の代謝均衡のために、機能的に調節作用があることが知られるようになり、医薬品開発に役立っている。
 人参には肝臓でのタンパク質合成を促進する作用、血圧調節作用、糖代謝の調節作用、造血作用、抗ストレス作用、記憶力改善作用、免疫増強作用、抗痙攣及び鎮静作用、抗腫瘍作用(抗癌作用)、抗炎症作用等がある。即ち人体機能を調節する効能を持っている神秘的な霊薬であることが科学的研究によって立証されている。


3)白茯苓
 茯苓は赤松や黒松の伐採後3〜5年経過した切り株の根に寄生し成育するサルノコシカケ科(Polyporaceae)のマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson(Poria Cocos Wolf)の菌核である。茯苓が配合された処方は極めて多く、甘草、芍薬に次ぐ処方数だといわれている。『神農本草経』に命を養うものとして分類されている上品に収録され、松の木の神霊がその根に集まったと考え、『伏霊』ともいう。また茯苓の中心に松の根が通っているものを『茯神』と名付けている。またマツホドという植物名は、松の陰部を意味している。動物において長寿といえば鶴、亀が代表的であるが、植物においては数百年生きる松が代表されることが多い。長寿である松の陰部の意味を意味することと、茯苓の効能が『水毒を追う』利尿剤であることと、松の木の神霊がその根に集まったと考えて『伏霊』と呼ぶことは、何にか関連付けられた意味があるのではないかと思われる。
 孫真人という人は養生銘を論したとされているが、その年代等ははっきりしていない。ただ唐時代に、102歳で他界した子孫はくが孫真人ではないかとみられている。大槻彰博士の『瓊玉膏の不思議』によると、真人曰く、茯苓を根気よく服用すれば、百日で諸病が除かれ、二百日にして昼夜眠らずとも良くなり、天女がやってきて侍ると書かれている。またこれは、伏霊の薬を表現していると思われる。
 茯苓は傷寒論では16処方、金匱要略では26処方等、その他、数多くの処方の中にみられる。茯苓は重校薬徴の中で『利水を主とする停飲、宿水、小便不利、眩、悸、煩燥、嘔、喝、不利、咳、短気の症状を治す』と利尿作用が茯苓の効能であることが書かれている。
 茯苓は利尿作用、腎障害改善作用、消化器系を強くし胃潰瘍予防、鎮吐作用、胃部の水分停滞感、心悸亢進、口渇乾燥、茯苓菌多糖体の免疫増強と抗腫瘍作用、卵巣組織の中のプロゲステロン量の増加により妊娠を助ける作用、海馬組織LTP増強作用による記憶力改善及び認知症予防等が科学的研究で示され、ネフローゼ、腎炎、尿毒症等に利用される漢方処方の効果が実験的研究で立証されている。
 人体の水分構成をみると、体液である細胞内液と細胞外液の適切な成分調節は生命維持に必須であえる。このような成分の決定にもっとも重要な因子のひとつに、水分代謝がある。なお、地球上のすべての生命体は水がなければ少しの間も生きることができない。それほど重要な水が体内でどんな役割をするのかを簡単に説明する。

 成人男性の場合、体重の約60%が水分であり、女性は50%程度である。乳児がもっとも多く、約70%ほどが水分である。成人の場合、体液の1/3は細胞外にあり、2/3は細胞内液を構成している。このような体内水分の約50%は筋肉に、20%は皮膚に、10%は血液内に、残りはその他の臓器に分布している。女性が男性に比べて水分量が少ないのは、女性は男性より体内脂肪組織が多いためである。
  健康のためには何よりも純粋できれいな水を多く飲むことである。ある面からみれば、生命維持するための栄養素より、重要なものはきれいな空気と水である。
 体の組織は、各々、生命維持に絶対的に必要で、かつ独特の役割を持っている。すべての組織は、水がなければその役割を全く行うことができない。水は血液、体液、リンパ液、唾液、内分泌系統の多様なホルモン、脳脊髄液等のもっとも重要な構成要素である。
 人間は毎日、飲食を通じて、水、ミネラル、炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミンなどの栄養素を吸収している。また人体は体重の約60〜70%以上の水分を保有し、新陳代謝により、生命維持と活動を行っている。その面からみると、小便、大便は最終の新陳代謝に該当するもっとも大切な水分代謝であり、健康と直結している。そのため、瓊玉膏に茯苓が配合されていることが理解される。


4)生地黄
 ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)のアカヤジオウRehmannia glutionsa Liboschitz var.purpurea Makinoやカイケジオウ Rehmannia glutinosa Liboschitz の根で、生のままのものが生地黄あるいは鮮地黄、乾燥したものが地黄、蒸した後加工調整したものが熟地黄であると規定されている。同一の基原植物でも、加工調理法の差より、薬効や成分が異なるとして知られている。また水に入れた時に、水に浮ぶものを天黄、中間にあるものを人黄、水に沈むものを地黄と呼び、漢方処方には地黄が多く使われている。
 瓊玉膏には生地黄を洗った後、搾汁機で生地黄の汁だけを取り、使用している。瓊玉膏の製造には一滴の水も入れないため、地黄の効能が最大限に発揮される。地黄は『神農本草経』では生命を養するものである上品に収録され、鮮地黄は清熱生津、涼血、止血のの効能があり、熱風傷陰、煩渇、発疹、吐血、衄血、咽喉腫痛を治すと記載されている。一方、熟地黄は生地黄、乾地黄でみられる解熱消炎作用よりも、補血、補養滋養強壮の薬物として働き、体を潤し、口渇を止め、老化を防止し、強心作用や内分泌機能の調整作用が期待されると記載されている。
 漢方処方に八味地黄丸があるが、八味地黄丸は口渇等の糖尿病治療の代表的処方で、地黄を主剤にしている。
 古典文献に記載されている地黄の効能を要約すると、次の通りである。
 (1) 出血および貧血にともなう発熱に効果
 (2) 貧血による諸症状の改善
 (3) 補養、滋養強壮
 (4) 内分泌機能調節と糖尿病の口渇と煩渇、内熱消渇症状の改善
 (5) 跛行、靭帯損傷、打撲、骨折の改善
 (6) 血行不良改善により肌や肉づきをよくする作用
 (7) 肺結核の吐血、虚弱体質の改善
即ち、補血、血糖降下作用、抗血管内凝固作用、滋養強壮、解熱、利尿作用等があり、それに関わる症状を改善あるいは治療する。

5)蜂蜜
 蜂蜜の基原は、ミツバチ科(Apidae)のヨーロッパミツバチ Apis mellifera Linne 又はトウヨウミツバチApis cerana Fabricius がその巣に集めた甘味物を採集したものである。成分にはグルコースとスクロースが約70〜80%、その他の糖質(スクロース、デキストリン)、タンパク質、ミネラル、酵素、ビタミン、花粉、ミツロウ等が一般的な成分であるが、ハチの生活環境によって異なる多様な成分を含んでいるので、微量の特殊成分の研究はされていない。性味は平、甘であり、肺、脾、大腸に帰経する。
 蜂蜜は補脾、虚脾倦怠無力、潤肺止咳、肺虚咳嗽、潤腸通便、腸燥便秘、解烏頭毒止痛、胃かん疼痛に効能がある。主に脾胃虚弱、腸燥便秘、乾咳、腕腹疼痛、火傷、灸瘡、瘡瘍に使われる。
 東医宝鑑では性質が平、微温、甘、無毒、五臓を安じ、補気、補脾胃、痛症緩和、解毒すると記載されている。蜂蜜は山奥の岩壁の蜂房で2〜3年貯蔵した透明白色で油のようなものを石蜜といい、良質であるとされている。
 <本草網目>には5つの作用があると記載されている。
 1)熱を冷ます 2)中焦を調和させる 3)解毒作用 4)燥きを潤す 5)痛症を緩和する性質は生のものが涼で清熱潤肺し、熟したものは温になり補中、緩急止痛する。味が甘で解毒し、薬性を調和するので、心腹肌肉瘡瘍の疼痛を和らげる。
 ・薬理作用:抗菌作用、造血作用、止血作用、長寿効果、解毒作用、栄養作用、収斂作用、烏頭解毒作用等が認められ、咳嗽、灸瘡、喘息、慢性便秘、赤痢、夜尿症、膿化傷、癰疽、せつ腫、炎症、胃十二指腸潰瘍、火傷及び湯傷、凍傷、潰瘍及び外傷、皮膚炎、鼻炎、細菌性痢疾、便秘、貧血、トリコモナス症、神経衰弱、高血圧、肺結核、心臓病に有効であると言われているが、研究はそれほど多くはない。


3.瓊玉膏の適応症
(1)瓊玉膏の漢方文献的効能効果
@東医宝鑑:精髓充満、真気平温、元気補、若回(回春)、精神軽快、五臓六腑充実、毛髪黒化、歯牙蘇生
A方薬合編:鎮静、毛髪黒化、歯牙蘇生、百病除去
B洪氏集験方:乾咳効果
C医学入門:精髓充満、真気平温、虚損症補強疾病治療、精神軽快、五臓六腑充実、毛髪黒化、歯牙蘇生
D寿世保元に収録されている瓊玉膏の内容は、次の通りである。
『此膏填精補髓、腸化為筋、万神具足、五臓盈溢、髓実血満、髪白変黒、返老還童、行如奔馬。日進数服、終日不食亦不飢、開通強志、日誦万言、神識高邁、夜無夢想、人年二十七歳以前、服此一料、可寿百二十歳。六十四歳以上服者、可寿至百歳。服之十剤、絶其欲、修陰功、成地仙矣。一料分五処、可救五人癰疾、分十処、可救十人宜労疾。修合之時、沐浴至心,勿軽示他人と記載されている。
 瓊玉膏は漢方古書に明記されている通り、精を補い、腸管の働きを助け、すべての栄養素が備わっており、肝、心、脾、肺、腎の五臓を助けて機能を強化し、骨髄には血液が充満し、老人の白髪は黒くなって若返り、元気な馬のように走り回る。一日数回服用すれば一日中、何にも食べなくとも飢えず、すべてのことに記憶力がよくなり、1日万語を暗記でき、思考が抜きん出ており、就寝の時は夢を見ることなく熟眠する。27歳までに一料を服用すれば360歳まで生きられ、45歳までに服用すれば240歳まで生きる、63歳までに服用すれば120歳まで生き、64歳以降に服用した者は100歳まで生きられる。
 即ち、瓊玉膏を適時に適量服用すれば、いつまでも若さを保持することがでる。また白髪の老人も元気を取り戻して若返る効能があるということである。

 E瓊玉膏の構成生薬はすべて神農本草経の上品に収載
 中国における薬の始祖は何と言っても伝説的な人物の『神農』であると言える。神農はすべての薬草を直接なめたり、噛んだりして、その薬効を判定し、分類したと伝えられている。。上品120種、中品120種、下品125種という1年365日と同じ数の計365種を、薬効別に分類したものが『神農本草経』である。『神農本草経』は一世紀頃に出版されたといわれるが、それはただ整理されたものが出版されたという意味であり、実際に神農が活躍した年代は未知である。また神農の称号は、人類の健康と農事のことを大事にした時代に、皇帝に相当する称号として贈られたもので、神農は中国の三皇の一人である。この『神農本草経』の薬効分類の内容を見ると上品120種は生命を補養する君薬とし、中品120種は身体の病気を治す臣薬、下品1215種は毒劇物が含まれたもので治療薬であると記録されている。『神農本草経』の薬効別分類法は、科学万能時代の21世紀の図書分類法にもない分類である。
 ここで注目すべきことは『瓊玉膏』を構成している生薬はすべて、神農が『生命を補養する』と分類した上品(君薬)の生薬で構成されていることである。
 その昔に、中国を統一した秦始皇等を見てわかるように、皇帝の権力を持っていた者の不老不死・不良長寿への欲望は想像できないほどであったと思われる。すなわち、宮中で愛用され、瓊玉膏と名付けられたことは、瓊玉膏がどれほど重要な補薬であったかが想像される。

(2)瓊玉膏の許可の効能
@効能効果 次の場合の滋養強壮:食欲不振、肉体疲労、虚弱体質、病後の体力低下、胃腸虚弱、毛食不良、冷え性、発育期
A用法用量 成人:茶匙1杯量(約5g)、11歳〜15歳未満:茶匙2/3量、8〜11歳未満:茶匙1/2量 そのまま、または温湯でうすめて1日1〜2回服用する。

2)瓊玉膏の適応症
瓊玉膏の最近の研究内容と臨床を総合すれば次の効果が期待される。
(1)滋養強壮:食欲不振、肉体疲労、虚弱体質、病後の体力低下、胃腸虚弱、血色不良、冷え性、発育期
(2)骨粗鬆症(骨多孔症)
(3)精神的ストレス
(4)産後回復、不妊症
(5)発育期、老化防止
(6)免疫増強及び抗活性酸素
(7)糖尿病及びその合併症
(8)高血圧
(9)糖尿病性高脂血症
(10)胃潰瘍
(11)記憶力障害、認知症の予防効果と認知症進行予防
臨床では、以上の症状に瓊玉膏を広く利用している。

3)瓊玉膏適応症の裏付け
 瓊玉膏の適応症は、伝統文献の臨床経験と薬効研究を総合すると、次のように利用される。

(1)骨粗鬆症(骨多孔症)の治療及び予防に有効
 動物、植物、または動く生命体において、骨格は形態を維持するのに基本の支柱である。人間は若い頃は骨格が固くて強いために、精力的に活躍することができる。しかし、高齢になると脊椎、関節等が段々弱くなって挙動が困難になり、活動が不可能になると、骨粗鬆症(骨多孔症)と共に急速的に老化現象が起こる。また、関節リウマチになれば、不治の慢性病になる。これらは、体の支柱である骨の中の骨髄が不足、あるいは弱いことから起こるのである。この症状を治療するのに、漢方医学では精髓充満と言う単語で表現している。即ち、瓊玉膏を長期に服用すると治療できるということになる。

(2)何事にも消極的で、ストレスを受けている人が服用する
 人間は動物の中で、意志を持っているので、世を支配している。意志が弱いと、消極的で単純な事にもストレスを強く受け、自身を蔑視し、自身を失い、意欲がなくなり、うつ状態にまでつながることがある。この症状を治療することを漢方医学では、真気平温、元気補、と言う単語で表現している。即ち、瓊玉膏を長期に服用すると自信がつき、何事にも積極的で気持ちが軽くなる。

(3)食欲不振、胃腸虚弱、肉体疲労、病後体力回復に服用する
動物は飲食を通じて動くためのエネルギーを産生することで活動する。すべてのエネルギーは生産は、臓器の役割により変わる。食物を消化吸収する胃腸が虚弱になれば、食欲不振、肉体疲労感、意欲喪失が起こり、体が弱くなるという悪循環を繰り返すようになる。
 また、腸管には全身の免疫を司る免疫司令部があると前述したが、胃腸が虚弱になると多様な病原菌の侵犯を受け、疾病にかかるのは勿論、老化も進みやすく慢性病への近道をつくることになる。

(4)血色不良、冷え性改善、産後・病後の体力回復に服用する
 医師は内科的診察の際、最初に顔の血色や舌と目を観察する。貧血あるいは血液循環と内臓の状態を確認するためである。それより診察の方向をある程度予測してから診察が始まる。
 瓊玉膏の構成生薬には生地黄があり、この生地黄は瓊玉膏の製造工程において72時間蒸熟される。蒸熟工程は人参等の他の生薬と一緒に生地黄を熟地黄のように変える工程である。熟地黄は血液、特に貧血に著効がある生薬であることは科学的研究により究明されている。冷え性、産後及び病後の虚弱体質回復には、何よりも血を補充することが一番である。

(5)発育期及び老化防止に長く服用する
 瓊玉膏の効能は若返りである。古書によると、瓊玉膏の効能には毛髪黒化、歯牙蘇生、即ち、白髪の髪が黒くなる、老人になって抜けた歯が再生すると記載されているが、それは若返るという意味を極端ではあるものの説明していると思われる。
 古書には次のように記載されている。瓊玉膏を長期にわたって服用すると、填精、補髓、養生、若返りなどの薬膏として、百損を補い、百病を除去する。五臓(肝、心、脾、肺、腎)が充満しあふれ、白髪が黒髪になり、歯が再生し、元気な馬のように駆け回り、1日2〜3回服用すると1日中空腹を感じず、一料の五分の一を服用すると癰病を治し、十分の一を服用すると疲れが取れる、27年間服用すれば360歳まで長寿する。瓊玉膏の効果は、長期間服用することにより現れるを示唆している。

(6)免疫増強及び活性酸素除去に服用する
 瓊玉膏は最近、老化及び慢性病の根源になる抗酸化作用に対する研究がされている。また、瓊玉膏の構成生薬の人参、茯苓、地黄は免疫増強作用をもつ代表的生薬であることが知られている。
 瓊玉膏の老化遅延効果を確認するため、エラー説の中でも活性酸素と関連してフリーラジカルが成人病および老化促進の原因になると言われていることから、D-ガラクターゼを6週間注射した老化モデルラットに対し、瓊玉膏を経口投与した後、赤血球のSOD(superocide dismutase)活性を確認した所、抗酸化酵素であるSODの活性に、統計的に有意性が認められた。
 抗酸化酵素であるGSH-pxの活性を測定した結果、瓊玉膏投与群と非投与群との活性に、統計的に有意性があることが認められたという報告がある。地黄にはマクロファージの免疫複合体消化能に対して亢進作用を示し、また、活性酸素抑制酵素のSOD様活性が確認された報告もある。

(7)糖尿病及び合併症に有効である
 ストラプトゾトシンにより高血糖を誘発させ、瓊玉膏を300,600、1200mg/kg投与してその結果を比較した。

 正常群の血糖値 58.0mg/dl
 高血糖誘発群の血糖値 99.0mg/dl

 瓊玉膏600,1200mg/kg投与群では血糖値73.0、61.0mg/dlで、用量依存的に血糖値を低下させることを有意的に示した。また高麗人参に含有されるペプチド成分が、合併症を阻害すると示唆されている。

(8)糖尿性高脂血症に効果
@総コレステロール及びトリグリセリド抑制効果
 高糖尿病群は、総コレステロール値が64.4mg/dlに上昇
 瓊玉膏300、600、1200mg/kg投与群は、総コレステロール値が各々、46.8、 39.5、 33.0mg/dlで、用量依存的にコレステロールを低下させることを有意的に示した。
A血清トリグリセリド値の抑制効果
 高糖尿病群は、トリグリセリド値が93.9mg/dlに上昇し、瓊玉膏300,600,1200mg/kg投与群では、トリグリセリド値が各々、72.4、59.5、54.8mg/dlで用量依存的にトリグリセリドを低下させることを有意的に示した。

(9)高血圧の抑制効果
 高血圧を誘発したラット(SHR)に、瓊玉膏の溶液、または血圧降下薬のプロプラノロール溶液を、用量にあわせ、1日1回12日間経口投与したところ、次のような結果が得られた。
 高血圧誘発群の最初の血圧を100として換算した。
 対象薬物のプロプラノロール30mg/kg投与群では、3日目から血圧降下作用を有意的に示した。また瓊玉膏300,600mg/kg投与群では、9日後から血圧降下作用を有為的に示したが、1200mg/kg投与群では投与当日から血圧降下作用を有為的に示した。

(10)抗胃潰瘍作用
 対照群(生理食塩水100ml/kg)
 瓊玉膏水溶性エキス(100,200,400mg/kg)
 対照薬物群(シメチジン 50mg/kg)
 まず、36時間絶食後に、アスピリン100mg/kgを経口投与して胃潰瘍を誘発した。
 潰瘍誘発6時間後から、1日3回、3日間、各試料を経口投与し、36時間後に、開腹して潰瘍係数を算出した。
 対照群(生理食塩水)の潰瘍係数は6.4±0.55で、対照薬物群(シメチジン50mg/kg)の潰瘍発生抑制率が55%、55%、67.5%で、用量依存的に潰瘍発生抑制の効果を示し、瓊玉膏水溶性エキスは抗胃潰瘍剤シメチジン50mg/kgより有意に効果があった。

(11)結核菌への有効性
 瓊玉膏の結核菌に対する研究を紹介する。
 実験目的:結核治療に使用されている抗結核製剤は、薬剤耐性と肝毒性による肝炎、アレルギー反応による発疹及び消化器障害等、多数の副作用が起こる可能性があり、またこれらの副作用による服薬中断は、治療失敗の原因になっている。それで実験者らは、臨床で疲労及び労療治療に瓊玉膏が多く応用されていることに着眼し、抗結核剤の耐性を低下させ、副作用を減少させる目的で、結核菌に対する瓊玉膏の効果を濃度依存的に検討した。
 @結核菌(Mycobacteria tuberculosis,M.avium,M.intracellulare,M.gordonae)の耐性度
 A抗結核剤(RFP;リファンピシン、CFN;シプロフロキサシン)
 B瓊玉膏(500?g/ml、250?g/mll、25?g/ml)
 C耐性判定:結核菌を摂取した後、培養気で培養して、菌のコロニーのの耐性度を判定
 a.RFPと瓊玉膏の混合投与時における結核菌の耐性度
 対照群の結核菌は継続的に生存数が増加することを示した。これに比べ、RFP投与した培地における生存数は1日目以降、持続的に有意に(p<0.001)減少し、瓊玉膏を投与した培地における生存数は5日目以降持続的に有意に(p<0.001)減少した。またRFP+瓊玉膏を投与した培地における生存数も5日目以降、持続的に有意に(p<0.001)減少した。RFPの単独投与では、結核菌の抗結核剤に対する耐性により、18日め以降に生存数が急激に増加を示したが、RFP+瓊玉膏を投与した場合には18日目以降でも、生存数は持続的に減少を示した。

b.CFNと瓊玉膏の混合投与時における結核菌の耐性度
 対照群の結核菌は継続的に生存数が増加することを示した。これに比べ、CFN投与した培地における生存数は1日以降、持続的に有意に(p<0.001)減少し、瓊玉膏を投与した培地における生存数は7日目以降、持続的に有意に(p<0.001)減少した。またCNF+瓊玉膏を投与した培地における生存数も5日目以降、持続的に有意に(p<0.001)減少した。CNFの単独投与では、結核菌の抗結核剤に対する耐性により、18日目以降に生存数が急激に増加を示したが、CFN+瓊玉膏を投与した場合には、18日目以降でも、生存数は持続的に減少を示した。

c.瓊玉膏と抗生剤(CNF,RFP)混合投与時における結核菌の耐性度
 瓊玉膏と抗結核剤(CNF,RFP)の混合投与において、抗結核剤(CNF,RFP)の混合投与時に、さらに瓊玉膏を混合したものが、強い抗結核効果を示した。
上記の結果から結核患者治療時に、抗結核剤と瓊玉膏を同時に投与することによって、結核菌の薬剤耐性を減少させ、治療効果が期待される。

(12)記憶力障害改善及び認知症予防と認知症進行予防に有効
人間の最近の記憶は脳の海馬組織で記憶貯蔵されるが、古い記憶は大脳皮質で記憶貯蔵される。認知症患者は、昔の事は比較的記憶しているが、最近の事件やヒトの区別認知力、場所位置、時間的概念、自分の生年月日、家の電話番号等に対する記憶力がないのが特徴である。もっとひどくなると、食べものと排泄物の区別も出来なくなる。日頃から尊敬してきた祖父母、あるいは父母が一人で生活する事が不可能になり、家族や周囲の人達にとって精神的にも肉体的にも負担となるため、大きな社会問題になっている。
 認知症は完治しない病気であるが、病状は徐々に進行するため、発病初期に発見して進行を遅らせることが最善策である。
瓊玉膏の認知症に対する効果を確認するために、表で表した研究結果を紹介する。

@瓊玉膏の脳神経保護効果『実験例』
 a.実験動物:マウス(モンゴリアン・ジャービル) 
 b.実験モデル:全脳虚血モデル(BCCAO)
 c.実験群
 
 Sham               無処理群
BCCAO            全脳虚血誘発群(陰性対照群)
BCCAO+KOK(0.25)    全脳虚血誘発+瓊玉膏 0.25g/kg 經口投与群
BCCAO+KOK(0.5)     全脳虚血誘発+瓊玉膏 0.5g/kg 經口投与群
BCCAO+KOK(1.0)     全脳虚血誘発+瓊玉膏 1.0g/kg 經口投与群
BCCAO+KOK(2.0)     全脳虚血誘発+瓊玉膏 2.0g/kg 經口投与群
BCCAO+MK         全脳虚血誘発+N-methyl-D-asparate(NMDA)3.0mg/kg 腹腔注射群(陽性対照群)

A瓊玉膏の投与が脳の海馬のCAIの細胞死に影響
脳の海馬のCAI細胞死を起こしたマウスの脳を摘出して組織学的に評価した。
瓊玉膏(上記実験群)投与において、脳の海馬の生存細胞と死滅細胞をニッスル染色法で確認した。
 瓊玉膏投与群は瓊玉膏を投与しない群に比べ、用量依存的に生存細胞が多く、死滅細胞が少量で、瓊玉膏2.0g/kg投与群は正常群とほぼ同じぐらいまで死滅細胞が減少していた。

B瓊玉膏の投与が抗炎症に影響
 脳細胞死滅メカニズムに関係する炎症に対する瓊玉膏の影響を評価するため、炎症細胞や微細芽膠細胞、星状細胞及びこれらの細胞が放出する1L-1?を免疫染色法で確認した。
 微細芽膠細胞は無処理群で非活性状態であったが、全脳虚血誘発群では活性化された。また、瓊玉膏2g/kg投与群では、全脳虚血誘発群に比べ、微細芽膠細胞の数が著しく減少する結果を示した。瓊玉膏2g/kg投与群では、全脳虚血誘発群に比べ、星状細胞の数が著しく減少する結果を示し、また瓊玉膏1.2g/kg投与群では炎症性神経伝達物質であるIL-1?の数を著しく減少させた。
 すなわち、瓊玉膏の海馬組織への保護効果を示していると思われる。

C瓊玉膏の当夜投与が記憶力改善に影響
マウスに全脳虚血を誘発して記憶力損傷を起こした後、瓊玉膏を投与した場合の記憶力改善に及ぼす影響を評価した結果である。
 Y字迷路試験及び新規物体認知能評価の結果、瓊玉膏2g/kg投与群は対照群に比べ、記憶力改善効果を有意に示した。
 上記の結果から、瓊玉膏は、海馬組織保護、細胞死滅の原因である脳抗炎症効果及び脳細胞生存に対する効果があることが認知された。
 認知症の項で言及したが、認知症は進行は遅くなるという特徴があるので、瓊玉膏1回あたり5gを1日2回、長期的に服用して、認知症の進行をさらに遅らせることができれば、余生を充分におくることが可能と思われる。
 ここでは、慶煕大学校薬学大学の柳教授チームと廣東製薬研究所が共同研究で発表した一部を紹介した。

(13)酸化的損傷による心筋細胞枯死に対する瓊玉膏の防御効果
 心血関係の疾患は、発病後に深刻な合併症が起こる可能性があり、また持続的な治療が要求される疾患であるため、疾病の予防が治療よりも重要であると認識されている。
 研究者らは、心筋細胞の酸化的損傷に対する瓊玉膏の防御効果を究明するために、H9C2細胞にH2O2を用いて酸化的損傷を誘発した後、酸化的細胞毒性に対する瓊玉膏の効果を確認し、これに関与する抗酸化関連酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1及び関連タンパク質の発現の様相を調査した。その結果を紹介する。

 @酸化的損傷によるH9c2心筋細胞の生存率変化
  酸化的損傷によるH9c2心筋細胞の生存率変化をみるために、複数の濃度のH2O2でH9C2心筋細胞を12時間処理し、MTT方法で測定した。
a.H2O2濃度処理群によるH9C2心筋細胞の生存率
 -0.05mM H2O2処理群:対照群より73%生存
 -0.1mM H2O2処理群:対照群より31%生存
 -0.2mM H2O2処理群:対照群より25%生存
 H2O2が高濃度になるにつれて、生存率は減少し、酸化的損傷を確認した。

b. 0.15mM H2O2処理後、時間経過によるH9c2心筋細胞の生存率
 -2時間後から徐々に減少
 -6時間後、約62%の細胞生存
 -10時間後、約38%の細胞生存
 -12時間後、約34%の細胞生存
 H2O2により、H9c2心筋細胞毒性は時間が経過するにつれて蓄積され、DNAの分節に関する典型的な細胞枯死であることが確認された。

AH2O2によるH9c2心筋細胞枯死に対する瓊玉膏の影響
 実験プロトコールにより、H9c2心筋細胞に対し、0.5mg/ml及び1mg/mlの瓊玉膏を同時処理、30分前処理及び12時間前処理した後、それらをH2O2(0.15mM)で処理して、細胞生存率の変化をMTT方式で調査した。
 -瓊玉膏で12時間前処理したH9c2心筋細胞生存率は39%
 -瓊玉膏を同時処理(1mg/ml)群では48%生存
 -瓊玉膏で30分前処理(1mg/ml)群は82%生存
以上の実験結果から、瓊玉膏の前処理群が同時処理群より高い生存率を示した。

BH2O2によるH9c2心筋細胞枯死に監に関し、心筋細胞の酸化的損傷に対する瓊玉膏の防御効果として、生体内抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1の発現を確認するため、ウエスタンブロット解析を試みた。
 H2O2単独処理時におけるヘムオキシゲナーゼ-1の時間依存的発現
 H2O2酸化的損傷に対する瓊玉膏の防御効果にとして、生体内抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1の発現を確認したところ、瓊玉膏を30分処理した場合に、明確に防御効果を示した。ヘムオキシゲナーゼ-1は、瓊玉膏の量に対し、濃度依存的に発現が増加し、対照群水準にまでH2O2酸化的損傷が回復した。

CH2O2によるH9c2心筋細胞枯死に関するFas/FasLのタンパク質発現に対する瓊玉膏の効果
 H2O2による心筋細胞の酸化的損傷に対する瓊玉膏の防御効果に関して、細胞枯死調節関連タンパク質であるFas/FasLの発現をしるために、ウエスタンブロット解析を試みた。
 0.15mMH2O2処理の4時間後からFas蛋白質の発現の増加が観察された。
 またFasに結合するFasLタンパク質も4時間後から発現が増加した。
 Fas/FasLの発現に関し、0.5mg/ml、1mg/mlのけいぎょくこうで30分前後処理した後、発現を確認すると、Fasは瓊玉膏の量に対し、濃度依存的に発現が減少し、対照群水準にまで回復した。
以上の結果から、瓊玉膏は酸化的損傷から心筋細胞を防御する効果を示したので、虚血性心疾患などの心血関係疾患に有効活用できることがわかった。
 また、瓊玉膏は発病してから服用するより、発病前から服用するのが有効であることが示された。

(14)不妊に効果がある。
 瓊玉膏は古書に効果として精髄充満と記載されている漢方である。精髄充満は男性の精子が元気で活発であると言う意味である。そこで、実験中ではあるが、筆者らが共同研究で不妊に対する実験をした所、瓊玉膏の投与により雄のラットの精子が活発になったため、メスのラットの受精や、補精に有効として、不妊治療に活用できるのではないかと期待している。

4.瓊玉膏の製法
 瓊玉膏には水を全く使わずに、蒸熟の特殊性により製造している。

1)文献的製造方法
 漢方薬の修治法が詳細に収録されている方薬合編には、瓊玉膏の製法に関して、次にように記載されている。
『左和均 入磁缸内 以油紙五重 厚布一重、 緊封缸口、置銅●内、水中懸、胎令缸口出水上、以桑火煮三書晝夜、如鍋内水減則、用煖水添之、日満取出、(換紙紮口 以りょう封固  懸井中一日取起)再入舊湯内、煮一晝夜、以出水気、乃取出、先用少許 祭天地神し 然後毎十二● 温酒調服、不飲酒、白湯下、日二三服、須於不聞鶏犬声、不令婦人、喪服人見之』

瓊玉膏の基本処方
 生地黄取汁  16斤
 人参       24両
 白茯苓      48両
 白蜜(蜂蜜)   10斤

上記の基本処方に次のような成分を加えることもあり、次にように記録されている。
(1)一方加:琥珀、沈香    各五錢
(2)一方加:天門冬、枸杞子  各1斤(益壽永真膏という)
(3)一方加:天門冬、麦門冬、地骨皮  各八両

 即ち、瓊玉膏の基本処方である人参粉末24両、白茯苓粉末48両、(一方加漢薬粉末包含)と生地黄の絞り汁16斤、蜂蜜10斤等をよく混合して均等にし、陶磁器に入れ、油紙5枚を重ね、その上に厚い布で陶磁器の口をきちんと封し、銅の水浴槽に入れ、陶磁器の口は水の上に出る様にして、桑の木を燃料にして火を焚き(温度を一定に)、三昼夜蒸熟する。
 もし銅の水浴槽に水がなくなると、温水を補充し、一定時間経った後、油紙を交換して再びきちんと封をして、井戸の水につけてぶらさげ、一日冷却した後、はじめの銅の水浴槽に入れ、また一昼夜蒸熟する。出来あがれば、まず少量を取り、天地神しに祈りをささげた後、1日1〜2杯を温水で服用する。
 製造する時に、ニワトリや犬の声が聞こえない山奥で、また、婦人や喪服を着た人を見ないようにと記載されているのはそれほど丹精をこめて製造するということをいっている。

6.瓊玉膏の製造工程
 生地黄は秋に収穫して1年間使用するので、品質を一定にするために、貯蔵に最も気を付けなければならない。そのための貯蔵費用が余計に掛かる。

1)生地黄の搾り汁の作製工程
 生地黄はそれ自体の新鮮度が大切である。即ち、生地黄を採取または保管の際、傷をつけず、一定の大きさで、収穫当時の水分をそのまま保持しているというような新鮮度が、製品の品質を左右する。
 生地黄の保管及び洗浄、生地黄の搾汁機での搾汁、生地黄の搾汁液の運搬、調製工程の時等には、一切、鉄製のものと接触しないようにする。また混合調製、蒸熟工程などの時にも一滴の水も加えないことが重要である。

2)混合調製及び蒸熟工程
瓊玉膏の製法は文献の製法を遵守して機械化し、GMP規定に適合するようにして製造する。
 蒸熟タンクに人参粉末、茯苓粉末、枸杞子粉末、沈香粉末と蜂蜜、生地黄汁を処方の通り入れ、攪拌しながら80℃で72時間蒸熟し、一晩放冷後、また24時間掛けて』完全に蒸熟する。瓊玉膏は、生地黄の搾り汁と蒸熟工程の蒸熟度で、品質が決定される。

3)充填工程
(1)洗瓶工程
瓊玉膏を充填する瓶の洗浄は次のように行う。
常水洗浄→洗剤洗浄→熱水洗浄→精製水洗浄→乾燥→検査→充填
(2)充填時、瓊玉膏には粘度があるので、充填量に注意して充填、包装する。

4)瓊玉膏の処方構成と蒸熟後の成分変化
瓊玉膏の製造工程で最も重要なことは、生地黄の搾汁工程と蒸熟工程である。東医宝鑑には瓊玉膏の製造場所は『須於不聞鶏犬声、不令婦人、喪服人見之』、即ち、犬やニワトリの声が聞こえない場所で、婦人と喪服を着た人は立ち入りを禁ずるとされている。これは瓊玉膏の製造蒸熟の際、製造条件に丹精を込めて製造することを意味している。それでは瓊玉膏の蒸熟工程後、成分がどのように変化するのかを考えてみる。

(1)人参の成分変化
 蒸熟後の人参の成分変化:72時間の蒸熟過程において人参は蒸熟される。
 人参を瓊玉膏のその他の構成生薬と一緒に蒸熟すると、人参単体では見られない新しい成分のピークが見られる。

(2)生地黄の成分変化
 生地黄の搾り汁を瓊玉膏のその他の構成生薬等と蒸熟すると、生地黄単体では見られない新しい成分のピークが見られる。

(3)製剤学的観点から生地黄を搾り汁にし、その汁を用いたことで水を一滴も使うことなく蒸熟により膏剤化を可能にした。
瓊玉膏の製剤において蒸熟することは、単純に人参や生地黄の成分変化があるというだけではない。数百年前に瓊玉膏の処方構成やその時代は温度計がなかったにも関らず、桑木の根を火に焚いて蒸熟の温度を一定にし、72時間蒸熟して、一晩放冷後、再び蒸熟するという特殊醗酵概念を得ていたことや、また蒸熟することで生薬の成分を変化させて薬効を増加し、瓊玉膏と命名したことは、本当に瓊玉膏が霊薬であることを示しており、50年以上漢方の製剤や漢方薬の活性を研究してきた著者も、この先祖の知恵に感嘆し、頭が下がる。



慢性病(生活習慣病)

@老化の構造と慢性病
 生老病死の人類法則がある。人間をはじめ、すべての動物は生老病死の必然的不変の法則の中で生きている。即ち人間は父母を通じて生命を持って生まれ、自然環境の中で生命を維持しながら成長し、最後には病気にかかって死亡」することである。
 人間は大昔から、健康で長寿でありたいという欲望がどの動物より強く、自然環境に適応し、知恵を発達させて地球を支配してきたと推測される。
 地球上の人類は、科学を発展させ、月、火星まで征服しようとする現在といえども、絶えず健康的に活動し、寿命をいかにして延ばし、長生きするかを最大の課題として努力してきた。人間が長寿と健康のために投資したものを金額で換算するとすれば、人類が使用している数字では表現できないほどの金額を長い歳月に渡って投資してきたが、生老病死の法則を屈服させることはできなかった。
 しかし経済的生活向上と医療の発展によって、平均寿命は多少延びるようになった。日本人の平均寿命は明治、大正時代には男女ともに50歳を超え、昭和22年、昭和25年には男性59.6歳、女性63歳に、昭和59年には男性74.5歳、女性80.2歳となり、名実ともに人生80年時代を迎え、高齢化社会になったわけである。しかし今日、科学の発達に加えて経済的開発によって最大寿命が延びてはいるものの、環境破壊、空気汚染、水不足と汚染、オゾン層破壊による紫外線増加等の環境変化は、高齢化時代に『QOL』(quality of life:生活の質)の点からは、深刻な社会問題となっている。
 老化とは何か、また老化はどのように起こって死亡するのかは、誰もが疑問に思っていることである。昔から多くの学者達によって、老化学説が提唱されてきた。Strehlerは、老化の特徴として普遍性(universality)、内在性(intrinsicality)、進行性(progressiveness)、時間依存性(time dependency)、有害性(deliteriousness)の5つを提示している。
 人のように多細胞動物においては、再生系細胞より非再生系細胞の老化が、個体の老化に大きく影響を及ぼすと報告されている。非再生系細胞中でも、神経細胞の老化が個体の寿命と密接に関係があると言われている。哺乳動物では、脳の重量と個体の最長寿命との間に一定の関係式が成立するというSacherの科学的報告があるだけでなく、老化に対する機序等が明らかにされている。
 老化の最も基本的な形態的特徴は、実質細胞数の減少と、生理的変化による疾病の増加で、特に表には現れにくい臓器機能低下の背景を持つ疾病が多い。また臓器の障害を惹起し、多くの臓器不全を起こしやすい症状は一定でなく、回復も遅く、慢性化もしやすい。また回復した後でも、日常生活の活動がよくないのが老人病疾患の特徴である。特に人間は直立歩行動物(homo erectus)でありながら、頭を使って思考する動物(homo sapiens)であるため、機能損傷によって挙動ができない時や、認知症、脳中風等でひとりで生活できない時に、家族や周辺の人々にも負担をかけることになる老人病疾患は、高齢化社会において最も深刻な問題である。特に共働きが一般的になっている現代人にとって道徳的な観点から必ず父母と一緒に暮らしながら親孝行をしなければならないことが昔話となってしまった現在では、高齢化比率が高くなるほど労働力が減少するので、結果として国が高齢化するのと同じ事になる。したがって高齢化を迎える国は、単純に長寿化するだけでなく、老人福祉施設の設置、身寄りのない高齢者の対策、またいかにして自立的で健康に老年期を迎えるかの対策に苦心しているが、何よりも老化と関係する認知症、高血圧病、糖尿病、関節炎、骨粗鬆症(骨多孔症)等の老人性、慢性病の予防対策が、人類の最大課題である。
 したがって、21世紀の地球人類の健康は現代医学だけでは守ることができないことから、伝統医薬あるいは自然健康食品で病気にかからないようにする予防医学を提唱している未来を見据えた医学者達と同様に、天然薬物及び天然健康食品で病気を予防していく必要がある。そのため本書は、伝統医薬処方と慢性病との関係を絡めて記述したい。

1.慢性病と生活習慣
 老化と慢性病は夫婦のように切り離せず、同時に進行する。老化は決して元に戻らない不可逆性のものであり、何人も避けることのできない不可避的なものである。
 しかし、高齢者はヒトによって差異がある。高齢で気力は劣るけれども慢性病なしに一生を平穏に暮らす人もいれば、老年期に慢性病を煩い、本人はもちろん家族にまで苦労をかけて一生を終える人、また中年期から高血圧、糖尿病、癌、痛風等の慢性病にかかり、不幸に余生を暮らす人もいる。
 一般的に慢性病は遺伝性だと思う人が多い。勿論、遺伝的要素もあるが、それよりも平素からの生活習慣により慢性病が発生することが知られるようになってから、慢性病は生活習慣性の疾患であるという学者達がおおくなった。それほど慢性病は平素の生活習慣と密接な関係があるため、慢性病予防のために正しい生活習慣が必要であると解釈される。
 本書では、慢性病にかからないように自分自身が前もって予防することを目的として、発病原因と発病原理を詳しく説明することで、本人自身の知識を通じて生活習慣の改善と予防効果が高められるよう、予防的な観念を中心に記述した。また慢性病にかかれば専門医の治療を受けるため、治療法はなるべく簡素に書いている。


2.健康のための正しい生活習慣
1)食生活 2)性生活 3)精神的ストレスの解消 4)適度な運動などは、基本的生活習慣である。

1)食生活
 動物は食べることそのものが生きていることである。動物は行動する生き物で、食べることと身体の新陳代謝と運動は、必須的行動であり、吸収排泄のバランスを維持しながらエネルギーを産生することが、基本条件である。この吸収排泄のバランスが崩れると、身体は非正常状態の肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、痛風等の慢性病にかかりやすくなる。
 ひとつの例になるが、食べものが沢山ある精米所のニワトリは土を掘りながらエサをさがして生きる放育ニワトリより不幸であるという古いことわざがある。精米所のニワトリは周辺に米が沢山あるので、おもに米を捕食しながら楽しく暮らすようにみえるが、放育している一般のニワトリの方が、食べ物をさがして活動をしながら様々な食べ物を食べるため、耐因性が強く健康である。人の生活も同じく、食べたい時に食べ、食べたくない時は食べない、、また美味しいものだけを好んで食べる、運動や活動を嫌がる生活をすると、慢性病の近道になる。
 このような食生活習慣、労易主義による運動不足、競争社会、職場ストレス時代に向き合っている現代人の生活では、肥満、糖尿病、高血圧、痛風、関節炎等の慢性病にかかるのは当然だと思われる。最も問題となるのは、病気にかかれば現代医療に依存する、またダイエットの目的で欠食や無理な節食をしたりする、運動はフィットネスクラブやゴルフのような楽しい運動に依存する傾向が多くなっていることである。また生活向上により、日常の食事では美味しいものだけを追求し、多色するので、肥満、糖尿病、高脂血症が21世紀の人類の脅威となっている。
 人は動く動物であり、1日3食食べるのが正常で、偏食と過食をしない規則的な食生活と適度な運動は生命維持の基本である。人体活動のエネルギー供給源となる食物は、腸管を通じて栄養分が吸収され、代謝過程を経てエネルギーが各臓器細胞に供給され、その事によって人は活動できる。したがって、このエネルギーに対する運動と消耗のバランスが取れた生活習慣が、健康を左右する。
 食生活習慣において喫煙と過飲、過度なトランス脂肪の摂取は、有害無得であり、また肉類の大量摂取を適切に調整する生活習慣が望ましい。
 食欲が旺盛で多色する人は、しょくじの前あるいは食事の最初に、適度に甘いものを食べるのが良い。甘いものは食べた時の満足感が大きく、先に甘いものを食べるとその後、沢山食べなくても満腹になりやすいため、これを利用するのも良い方法だと思われる。甘いものは砂糖が代表的である。砂糖は肥満、糖尿病には望ましくないものであるが、日常生活で完全に禁食するのも困難である。砂糖を利用するときには、精製した白糖より、粗精製したキビ砂糖の方が良い。精製していないキビ砂糖の黄色物質にはフェニルグルコシドが沢山含まれており、このフェニルグルコシドは腸管において炭水化物の吸収を抑制する作用があるため、食べた砂糖や穀類中の炭水化物の吸収が抑制されるからである。

2)菜食と肉食の比
(1)人は菜食と肉食の雑食動物である。では野菜と肉を食べる比率はどの程度が良いのか、疑問が出てくると思われる。それは人によって差異があるが、人体構造的に考えてみると、人間の歯牙の構造は32本になっている。
 門歯-8本(細切)
 犬歯-4本(細切補助)
 臼歯(奥歯)-20本(粥状に細磨)
 8本の門歯で細切、犬歯は細切補助、臼歯(奥歯)は粥状に細磨する役割をする。
牛、馬、象、羊等の草食動物は門歯の8本で細切し、臼歯を上下左右に動かしながら植物類を細かい粥状にして消化する。ライオン、虎、犬、猫等は犬歯が発達しており、犬歯で肉に噛み付き臼歯(奥歯)を上下に動かして肉類を消化する。人間は歯牙の構造から雑食動物である。人の歯牙は門歯と臼歯を合わせて28本、対する犬歯は4本で、『7:1』の比率で構成されている。したがって、人は身体構造からみて、日常の食事の比率は、菜食87〜88%、肉食12〜13%で摂取するのが適切であるとみられる。即ち、肉類は1週間に1回程度、野菜類と一緒に食べるのが、望ましいと思われる。

(2)旬のもの
 人間は自然環境の中で暮らしている。地球は1年365日、春夏秋冬の四季があり、春は万物が蘇生する季節で、植物は芽を出し花が咲く、夏は成長、秋は成熟、冬は貯蔵と冬眠の季節である。それらの季節を繰り返す環境の中で、すべての動物は自然と共存しながら、生老病死法則の下で生命を維持し、最終的には自然に帰化する。人間も同じように自然環境の中で共存しながら生命を維持するので、季節に合った食べ物、つまり旬のものを摂取するのが健康に良いと考えられる。特に旬の野菜類は輸入品よりも、自身が日頃居住している地域で生産されるものが健康に最も良いと言われている。『産地地消』、『身土不二』といった言葉があるが、自然と生活の摂理ともいえよう。
 すなわち、春にはヨモギ、タケノコ、山菜やその乾燥品、夏にはトマト、スイカ、イチゴ等の夏の野菜、秋には各種の成熟した果実類、穀類、野菜類、冬には穀類、醗酵食品(キムチ、味付け)、茶類などや、その季節に多く取れる魚介類の料理、また体を強くする旬の素材を摂取するのが良い。

3)家庭の生活習慣と性生活
 『三つ子の魂百まで』と言うことわざがある。子供の頃の生活習慣は人の一生の人格形成に関ることは勿論、自身の人生において健康的に生きられるかどうかを左右するといえる。
 社会活動は家庭から始まり、家庭の平和は社会生活を円満にする。また家庭の平和は夫婦の円満な性生活と密接な関係があり、健全な性生活は健康にも大きな影響を与える。
 性生活も食生活と同じく、節制の上、若い時から夫婦の生活環境に合わせ、規則的に性生活をすることが、老化防止や疾病の予防と健康に良い。即ち、乱れた性生活は老化と慢性病を促進すると共に、職場生活においても集中力が落ちる。食事の量と日頃の性生活は8文目に調整するのが長寿の秘訣だと言われている。鶴と亀は夫婦間で性生活を調整し、食べ物は活動の合わせて量を減らすので、長生きすると言われている。日常生活において夫婦が互いの人格を尊重し合い、譲歩し合う、真心の愛も大事な性生活の一部であり、家庭の平和の鍵となる。反面、無節制な性生活や不倫による性生活で家庭の不和等を起こすと、家庭は不幸となり、慢性病を引き起こすだけでなく、老化が早く、短命で人生の末路がよくないことは当然である。

4)精神的ストレスの解消と適度な運動
 現代人は、職場、社会、国家間等、激しい競争の中で生活をしている。21世紀になって科学の発達により、物があふれた豊かな生活をしているが、時代にあった経済水準にすべての人が達しているとは言えないため、就職難、子供の教育費、職場の上司や同僚間、または業務等で受ける精神的ストレスの累積は、その度を越えている。精神的ストレスの累積は高血圧、心疾患、糖尿病、うつ病、関節炎、癌等の慢性病の根源になるとの学会報告は、もはや新しいことではない。社会生活において避けることができない精神的ストレスを、薬や医師に頼って解決しようという考えは間違ったことである。自分が日常生活において受けるストレスは、まず自身で解決する方法を探し出し、習慣化して治すべきである。

 精神的ストレスを解消することは簡単にはできないが、すべてにおいて肯定的思考を持つ、職場の同僚たちと打ち解ける、趣味生活を通じて自身を持つ、家族とは会話により家庭を平穏にする、宗教生活、尊敬する先生または先輩、親友、恋人との会話を持つ、目的を完成した時の達成感を増大する、仕事の際はこの仕事があるから自分が必要であると考える、また仕事があるから家族の幸福があると肯定的に思うことで、ストレスを解消する。あるいは適度な運動などで、精神的ストレスを解消する方法が何よりである。


A生活習慣病
 成人病は加齢の病変であり、病勢の進行を止めることはできないとされてきたが、現在では生活習慣病と称される成人病の過半数が、生活習慣を変えることにより、病気を確実に予防ができることから『健康日本21』が厚生労働省により策定された。
生活習慣病予防としては、健康と栄養を考えた食生活、運動を通じた肥満、動脈硬化、高血圧症、脳出血などの循環器病病の防止、睡眠によるストレス緩和と休養、節煙および禁煙による心臓病のリスクの低減、適度なアルコール摂取による心身のリラクゼーション、歯の健康、糖尿病予防、そして癌の早期発見などが挙げられている。以上をみると、いずれにしても、生活習慣を通じた予防が求められる。結局、自然との親和する生活を意味している。

癌(Cancer)
 癌は手足の爪、毛髪をのぞく、身体中どこにでも発生する恐怖の疾病である。
 世界人口の約1/4が癌によって死亡している。また勧告の死亡原因の1位が癌による死亡であり、毎年7〜8万人が癌により死亡している上、、癌患者は毎年増加している。治療中の患者が10余万人で、新しく発生する患者数も10余万人に達すると専門家達は推測している。
 20世紀にめざましい発展をとげた現代医薬であるが、癌は今も難攻不落で、癌退治のために医、薬、生物学者たちは、昼夜兼行で研究している。

1.癌の正体は何か
癌は正常細胞が何らかの原因で突然変異を起こし、発生する。
1)癌は60兆に達する正常細胞の中、最初はひとつの細胞が突然変異を起こし、発生する。(Initiation Promotion)

2)突然変異細胞は細胞死滅がなく、無限に増殖する。

3)癌細胞は多くの栄養分を要求し、無秩序に正常細胞へ機能障害を与える。

4)癌細胞は不可逆的で、正常細胞に戻ることなく、全臓器に転移拡大する。

5)増殖速度が非常に早い。

6)癌は始めに発生する原発巣癌と、転移癌がある。
原発巣癌は早期に発見すれば手術や薬物治療により治癒できるが、転移癌は全身に転移するため、免疫が低下し急速に増殖速度を増す。

7)難治病である。
 ヒトは誰でもオンコジーン(Oncogene)という不活性の癌因子を持っている。ヒトが身体的、あるいは精神的ストレスを継続的に受け、刺激が累積すると、不活性Oncogeneが活性化されて癌を誘発するとの学説がある。Oncogeneを活性化する条件は日常生活習慣が鍵になっていると言える。
 即ち、環境汚染、疲労、過度な紫外線及び放射線の照射、または累積されたストレス等により、呼吸代謝で発生した活性酸素が体内に蓄積されることによって、免疫力が低下して正常細胞が破壊され、Oncogeneの活性と共に細胞の突然変異が起こるとみられている。この突然変異は慢性的刺激(promoter)と変異源(initiater)によって起こる。
 慢性刺激実験のひとつの例を挙げると、ウサギの耳の毛を削り、皮膚をコールタールで擦ることを繰り返すと、皮膚に傷ができて出血し、皮膚や肉がふくれ、修復増殖作用が起こる。このような操作を1年間繰り返すと(動物の癌自然発生は1年以上の期間が必要)、修復増殖作用により修復された皮膚および肉が突然石のように固くなる。細胞に突然変異が起こって癌になる癌は、このような原因などにより、発生する。この実験の通り、慢性刺激(promoter)が突然、変異源(mutagen)になって癌になるのがわかる。

2.癌の予防
 癌は遺伝病であると言われてきた。しかし、最近では生活習慣病であると考える方が説得力を得ている。癌の遺伝性は結果で、原因は生活習慣にあると考えるのである。人類の進化は遺伝子の変化からではなく、環境に適応するために体質の変化から進化している。
 癌を予防するには、まず癌が発生する原因を知ることが望ましい。癌を誘発する変異源の原因は何かを考えてみよう。

進化と人体質変化
人体遺伝子は30億構成→蛋白質生産

人間遺伝子は不変化
環境による人間体質変化
遺伝子校正体質50%-環境50%

 癌の発生原因となる放射線、紫外線、ブレオマイシン(bleomycin),テトラサイクリン系の抗生剤、農薬、除草剤、殺虫剤等が、植物や昆虫の細胞核遺伝子のDNAに、活性酸素(Free Radical)を発生させ、DNAを溶解したり、破壊したりする。即ち、放射線、紫外線、抗生剤等が、人を含めた動植物の細胞核に、大量の活性酸素(Free Radical)を発生させると、DNAが破壊されて死亡する。
  段簿に散布した農薬が米や野菜に吸収されたり、ゴルフ場に散布される農薬や殺虫剤が雨と共に川へと流れたりすると、その農薬や殺虫剤は川の石や砂によって浄化されるが、微量ずつ水道水に混入する。そのため日常生活の飲料水や食物を通じて、我々の体に蓄積される際に、前述した通り、微量ずつ発生する活性酸素(Free Radical)によってDNAが損傷を受け、遺伝子の伝達命令が少しずつ変化しながら、細胞の突然変異を起こし、癌を誘発すつ子とになる。以上のような事実からみると、遺伝子変異の原因は、結果的に環境と生活習慣にあることがわかる。
 癌の字を見てもよく理解できると思われるが、癌の字はやまいだれに、くち(口)が3つあり、その下に山の字がある。癌の字を解析してみると、やまいだれの中の口のひとつは食物を食べる口、もうひとつは呼吸する口、残りのひとつは目には見えない七情(ストレス)を感じる口で、下の山の字は自然を表している。言い換えると、日常生活において自然から遠ざかり、汚染した空気や食べ物を食べ、ストレスを連続して受けることにより、癌にかかると考えると、生活習慣の改善が癌の予防に役立つと思われる。
 一般的に癌にかかるのは遺伝子によるものだと決めつけて言う人が多い。しかし、人の遺伝子は30億個で構成されていると言われ、遺伝子が変化することは滅多にない。もし簡単に変化する遺伝子であったとすれば、先祖から子孫へと遺伝子が伝わってくる間に、癌にかかってしまい、今まで遺伝子を伝えてくることができなかったはずである。癌は遺伝性のものではなく、生活習慣による体質変化が癌を誘発するため、予防できると主張する学者達が増えてきた。したがって親が癌で亡くなったので、遺伝子の関係で自分も癌にかかるのではないかと心配する方がいるかもしれないが、それは杞憂で、環境や生活習慣に気をつけていくのが大事なことであると、学者たちは言っている。

3.癌の転移と早期発見
 ヒトの体には外部的に『ほくろ』あるいは内部的に子宮筋腫、脂肪腫等があるが、これらはある程度成長すると停止して転移しないため、生命には支障がなく、良性腫瘍とよばれる。
 一方、悪性腫瘍(癌)は正常細胞と異なる非正常的な分裂細胞で、ヒトの正常な新陳代謝とは無関係に早い速度で無限増殖し、正常細胞が摂取するべき栄養分を、癌組織の増殖に比例して奪取するので、正常細胞は次第に栄養不足状態となり、癌組織の増殖は加速される。なお重要なことは、初めに発生した癌組織を原発巣癌というが、この原発巣癌がseedとなり、癌細胞から解離及びリンパ離脱されて、血管やリンパ管を通じてからだの各臓器に移転し、早い速度で新しい癌組織を新生拡大することを、癌の転移と言う。この転移した癌細胞に対する治療法は、未だに困難である。

 癌転移に対して、いくつかの過程(process)に分けて、特徴を解析してみると
1)原発巣の増成による周囲組織の融解と血管新生の誘引
2)原発巣からのseedの解離と離脱
3)seedの脈管(血管、リンパ管)への移動
4)seedの脈管内への侵入
5)seedと脈管内の体液成分(リンパ管、血糖タンパク)、細胞成分(リンパ球、マクロファージ、血小板)との相互作用
6)seedの標的臓器(soil)の脈管壁への付着と脈管外への浸出
7)seedによる標的臓器(soil)の組織融解
8)seedによる標的臓器(soil)内への侵入
9)seedによる標的臓器(soil)での血管新生の誘引
10)seedの標的臓器(soil)での増成

以上、癌転移の過程(process)を整理して説明したが、癌転移に最初の段階、癌細胞の腫瘍塊からの離脱に関与する細胞間接着低下に関するカテニンタンパク群の研究、癌細胞の標的臓器への接着浸透過程、Lance Liottaの提唱した血管リンパ管規定膜接着分解運動における3段階での分解に関与するマトリックスメテロプロテアーゼの研究、seed and soil説に対する研究、癌のseedが臓器に安着した後の栄養補充のための血管新生誘引の抑制等、部分的に活発な研究は行われているが、未だに確実な治療法は確立されていない。

4.癌の早期発見
 癌は原発巣癌と転移癌とを区別しており、これらは癌の進行過程を表している。
 上記で胆の発生原因を説明した通り、最初は1個の細胞から変異が起こり、潜在期を経て転移する以前までを、原発巣癌という。この原発巣癌の潜伏期間は相当な期間がある。ただ症状がなく、本人が感じられないため、長い期間、癌の成長を待ったまま生活しているのが一般的な癌患者たちの実態である。この原発巣癌の段階で病院に行って検診を受け、癌を発見するのを癌の早期発見と言う。癌を早期発見すると、手術や放射線療法、薬物治療などによって簡単に治療できる。癌転移に対しては上記過程(process)で説明したように、全身の臓器に転移することにより免疫が急低下し、急速に癌細胞が増殖するため、最先端の現代医療でも未だにほとんど治癒が不可能である。そのため、検診を通じて早期発見するよう、医療機関では受診勧告を行っている。この受診勧告を積極的に利用するのも、癌を予防する方法である。

5.がん予防の勧奨事項
1)次はがん予防医療機関におけるがん予防の勧奨事項を紹介する(大韓癌協会)
(1)偏食しないで栄養分はバランスよく摂取する
(2)緑黄色野菜を中心に果実や穀物など、繊維質を多く摂取する
(3)牛乳と、みそ、しょうゆを多く摂取する
(4)ビタミンA、C,Eを適切に摂取する
(5)適切な体重を維持するため、過食しないで、脂肪質を少量食べる
(6)あまりにも塩分の多いもの、あまりにも辛い食べ物を熱い食べ物を避ける
(7)かびがついたものや、腐敗した食べ物を避ける
(8)火で直接焼いたり、燻製にした肉類や魚介類は避ける
(9)酒は過飲したり、習慣的に飲んだりするのを避ける
(10)禁煙する
(11)太陽光線、特に紫外線に当たり過ぎることを避ける
(12)あせを流すほどの運動はよいが、運動し過ぎる事は避ける
(13)ストレスを避ける、嬉しい気持ちで生活する
(14)沐浴やシャワーを適度に、体は清潔にする

2)日本の公益財団法人癌研究振興財団では、生活において、癌を防ぐための12か条(Twelve Points Precaution For Cancer Prevention)を推奨している。

(1)バランスのとれた栄養をとる(彩り豊かな食卓にして)
 毎日食べている食品の中には癌を誘発する物質と癌を抑制する物質が共存している。
 例をあげると、乳房癌、大腸癌、子宮内膜癌等は脂肪の過量摂取が発ガンと関係ある。反面、ビタミンA,C,E等と食物繊維は、発癌を防ぐ抑制効果があることが知られている。食べ物はヒトが選択するもので、偏食を禁じ、バランスのとれた食事を通じて、食物中の発癌物質の作用を相殺するのが食予防法言えよう。

(2)毎日、変化のある食生活を
  多くのヒト達は好きな食べ物を繰り返し食べることが多い。例を挙げると、精米所のニワトリは米ばかり食べて、一見、幸福に見えるが、産卵率はよくない。また体も弱い。これはいつも米だけを食べるため、免疫が落ちるからである。人参がヒトに良いからといって、人参だけを連続して食べるのもよくない。また肉類を多く食べるをよくないからといって禁食すると、栄養素のバランスが崩れるため、週に1回程度、緑黄色野菜と一緒に食べるようメニューを調整して欲しい。

(3)食べすぎをさけ、脂肪は控え目に(美味しいものも適量に)
 長寿の秘訣は毎回の食事を8分目程度に維持することと言われている。動物実験でラットに好物を制限なしに食べさせた郡と、食事量を60%に制限した郡とを比較した結果、60%に制限した郡は発癌率が低く、長生きしたのが確認された。特に過食の中でも、脂肪の量が問題となる。

(4)お酒はほどほどに(健康的に楽しもう)
 WHO(世界保健機関)の調査により、過度の飲酒は口腔癌、咽頭癌、食道癌と関係があると報告されたことがある。フランスのノルマンディー地方の住民たちは、アルコール濃度が高いブランデーを多く飲む習慣があり、昔から食道癌が多かった。またアルコール度数の高いお酒は、口腔や咽頭、食道等の粘膜細胞に傷を与え、それが癌の原因となると究明された。

(5)たばこは吸わないように(特に、新しく吸いはじめない)
 たばこと癌との関係は知られている事実である。がん研究振興財団によると、男性12万人以上に対して、長期に渡って調査した結果、1日25本以上喫煙した人は、喫煙しない人に比べて、咽頭癌が90倍以上、肺癌は7倍の死亡率を表していた。また最近は喫煙する人だけではなく、家族や職場同僚等の周辺の人にまで害を与える事が知られている。たばこから直接出る紫色の煙より、喫煙した人の口からはかれた煙の方が、発癌物質を多く含んでいる。また喫煙する夫よりも、喫煙しない妻の肺癌死亡率が高いとの報告もある。

(6)食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとる(緑黄色野菜をたっぷり)
 ビタミンは人の体の潤滑油と同じで、その中でも、ビタミンA、C、Eは癌発生を防ぐ作用があることが知られている。例を挙げると、ビタミンA(?‐カロテン)はニンニク、ホウレンソウ、小松菜、春菊、ニラ、太刀魚、バター、チーズ等に、ビタミンCは、イチゴ、カキ、レモン、ホウレンソウ、キウイ等に、ビタミンEは、落花生、豆、ゴマ油、えごま油、太刀魚、イワシ、卵類等に、多く含まれている。繊維質:植物の繊維質は、大腸の活動と通便を助け、便が腸に溜まる時間を短くするだけでなく、繊維成分が大腸内にある発癌物質の濃度を希釈し、大腸癌にかからないように助ける役割をする。昔からある食品は植物性が多いので、繊維食品が多いが、最近は、繊維質の足りないインスタント食品を好んで食べる傾向があるため、繊維食品が減少する状況と反比例して、大腸癌が急増している。

(7)塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから(胃や食道をいたわって)
 韓国には塩辛い食品が多いので、代表的な癌として胃癌を挙げることができる。最近は食生活の改善で減少をみせているものの、今も肺癌や子宮癌に比べて圧倒的に多い。日々の塩の消費量を10グラム以下に勧奨しているが、守られていないようである。環境と生活改善で、胃癌による死亡率は減少したが、地域差があるのは塩分摂取量と関係があるためだと知られている。また熱い茶、スープ等を飲む習慣がある地方では、食道癌が多いという報告もある。

(8)焦げた部分はさける(突然変異を引きおこす)
 魚介類や肉類を焼くと、黒く焦げた炭化部分に突然変異を起こす物質が生じるとの報告がある。料理温度が高く、料理時間が長いほど、突然変異する量が増加する。特に魚介類や肉類、野菜等を直火で焼くと、加熱で焦げた場合、多く発生する。また砂糖や炭水化物の炭化物にも、細胞の変異を引き起こす物質が含有されている。

(9)かびの生えたものに注意(食べる前にチェック)
 かびには人に良いものも多いが、その反面、有害なものも多い。有害なかびは固いピーナッツや米に付いており、このかび等に発癌性が認められている。また東洋人に肝癌が多いことから、B型肝炎等の他に、このかびが肝癌の原因ではないかとみている学者達もいる。

(10)日光に当りすぎない(太陽はいたずら者)
 太陽光線には強い紫外線があり、この紫外線は皮膚に有害であることがわかった。適度な紫外線の照射が続くと炎症ができ、この炎症が継続すると細胞の遺伝子が損傷を起こし皮膚癌を誘発するようになる。理論的には紫外線に過敏反応を起こすメラニン色素によるものである。したがって熱帯地方の白人達は皮膚癌や悪性黒色腫が多いと知られている。

(11)適度にスポーツをする(いい汗、流そう)
 栄養と運動は健康的な生活の基本条件である。1日中椅子に座って仕事をするヒトに大腸癌が多いとの研究結果もある。発癌物質を投与して、光の照射や高温下においた動物は、発癌物質だけを投与した動物より、癌の発生率が高いという実験結果からすると、疲労とストレスは大敵とも言える。気分転換や健康のために、適度なスポーツをすることを勧奨している。

(12)体を清潔に(さわやかな気分で)
 毎日シャワーや沐浴をし、体を清潔にした場合、皮膚癌や子宮癌、陰茎癌等は、ある程度、予防できる。200年前に、イギリスであった話だが、煙突清掃をしている人達の間で陰嚢の皮膚癌の発生が問題となった。その後、煙突のススの中に皮膚癌の原因となる物質が発見されたので、作業が終われば体を洗うようにした後からは、皮膚癌がなくなった。これは体を清潔にすれば、皮膚癌の予防になる良い例と言える。
 以上のように、日本や韓国の癌専門協会では、癌は生活習慣によって起こる疾患であると、積極的に警告し、生活習慣を通じた予防法を提示している。


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