特集:漢方とメタボリックシンドローム

九味半夏湯加減方の肥満改善有効性を検証=BMI、体脂肪率、内臓脂肪面積で改善効果

〈ゲスト〉和田高士先生 ●東京慈恵会医科大学健康医学センター センター長

 追試で内臓脂肪面積も有意に減少した

 ――治験の内容についてお聞かせ下さい。

〈和田〉 九味半夏湯加減方には「脂肪過多症」という効能があります。近年、肥満の診断は単に身長と体重のバランスのみならず、体内の脂肪量、さらには高血圧、糖尿病、高脂血症との関係がより深い内臓脂肪量の測定が特に重要視されてきています。
 日本肥満学会は、body mass in‐dex(BMI)=体重(s)÷身長(m)÷身長(m)から肥満の判定基準を発表しています。それによるとBMI25s/u以上の場合が肥満と判定されます。今回の試験ではさらに肥満の指標として、体脂肪率(タニタ社TBF−201)、X線CTによる臍部レベルの内臓脂肪面積を判定しました。
 対象は、本研究に同意していただいた37人です。日本肥満学会の診断基準によりBMIが25s/u以上の17人を肥満群とし、25s/u未満の者20人をコントロール群としました。九味半夏湯加減方(扁鵲)は標準内服量1日3包(1包2.0g)を8週間投与しました。

 ――試験結果はいかがでしたか。

〈和田〉 肥満群のBMIは、投与前27.6±2.0s/uから投与後は26.9±2.2s/uへと有意に減少しました。体脂肪率も31.0±6.6%から29.9±5.9%へと有意に減少しました。
 この試験では臍部レベルの内臓脂肪面積は121±61cuから116±62cuへと減少しましたが、有意差は見られませんでした。しかしその後、新たな24人で追試をした結果、有意に減少しました。皮下脂肪も加えた全脂肪面積も306±68cuから296±70cuへと減少しましたが、これは統計学的には有意差はありませんでした。
 コントロール群においては、BMIは投与前22.5±1.7kg/uから投与後22.3±1.8へと/uへと有意な変化を認めませんでした。同様に、体脂肪率も投与前26.6±4.1%から25.9±3.8%へと有意な変化を認めませんでした。内臓脂肪面積も投与前53.1±39.5cuから投与後51.7±37.2cuへと有意な変化を認めませんでした。
 両群とも特別な副作用はありませんでした。


【九味半夏湯加減方】

 九味半夏湯加減方は、沢瀉、生姜、桂皮、牡丹皮、柴胡、升麻、大黄、甘草、芍薬、猪苓、半夏の11種類の生薬からなる。九味半夏湯加減方は、1949年(昭和24年)1月に当時の厚生省より「脂肪過多症」という効能をもつ一般用医薬品として承認され(承認第1836号)、『扁鵲』(へんせき)という名称で市販されている。

メタボリックシンドロームの診断基準

内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積
  ウエスト周囲径  男性≧85p
              女性≧90p
               (内臓脂肪面積 男女とも≧100cuに相当)

上記に加え以下のうち2項目以上
  高トリグリセライド血症    ≧150r/dl
           かつ/または
  低HDLコレステロール血症   男女とも<40r/dl

     収縮期血圧  ≧130oHg
           かつ/または
     拡張期血圧  ≧85oHg

   空腹時高血糖   ≧110r/dl



内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドローム生む
 ――肥満については、いろいろな危険性が指摘されています。


〈和田〉 肥満は2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧などの脳血管障害、虚血性心疾患のリスクファクターを引き起こすのみならず、睡眠時無呼吸症候群、腰痛症、月経異常など、多くの疾患の原因になっています。
 肥満の判定はBMIで表されますが、本来肥満とは身体に脂肪が過剰に蓄積した状態です。この脂肪の蓄積状態を簡易的に判定する方法として、いろいろな方法が開発されていますが、現在最も幅広く使われているのが、インピーダンス法による体脂肪率測定です。
 体脂肪率の増加により、健康障害の程度が悪化しますが、一方、体脂肪率が減少すると、血圧、脂質代謝異常、糖代謝異常などの生活習慣病が改善されます。今回の試験により体脂肪率の減少が確認されましたので、本剤によりこれら生活習慣病の改善が期待されます。

 ――特に、内臓脂肪型肥満が問題ですね。

〈和田〉 肥満は、その分布により内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられます。特に内臓脂肪型肥満は高血圧、脂質代謝異常、糖尿病を合併しやすく、これらはメタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群などと呼ばれています。
 皮下脂肪については、ある程度存在することは外部からの障害を守る、体温を保持するなどで意味のあるものです。しかし、メタボリックシンドロームとの関連は、ほとんどないといってよいでしょう。
 内臓脂肪型肥満はX線CT検査により臍部レベルの内臓脂肪面積を測定し、100cu以上は内臓脂肪型肥満と判定されます。以上のことにより、対象者をまずBMIによって肥満群と非肥満(コントロール)群に分類しました。そして、体脂肪率と腹腔内脂肪面積も肥満の指標として検討しました。


九味半夏湯加減方は脂肪と水太り中間肥満に効果
 ――肥満改善については、他の漢方薬でも効果が指摘されていますね。

〈和田〉 防風通聖散については多くの報告があります。証に応じて肥満症16例に防風通聖散を投与した報告では、BMIは29.4s/uから28.4s/uへと3.4%の減少が見られました。ただ、2例で下痢、1例で浮腫と胸やけの副作用があったため試験を中止しています。防風通聖散では重篤な薬剤性肝臓障害、間質性肺炎が報告されていますので、注意が必要です。
 九味半夏湯加減方の肥満群での効果は2.5%の減少でしたが、今回の試験は一般用医薬品における市販時と同様な条件として証を考慮に入れなかったため、効果がやや弱い結果になったとも考えられ、また、副作用は認められませんでした。

 ――九味半夏湯加減方をいわゆる「やせ薬」として、消費者に勧めるのは問題がありますね。

〈和田〉 本剤の効能は「脂肪過多症」ですから、余分な脂肪を取るのです。実際、私どもの試験で体重が10sも20sも減ったわけではありませんし、体重がほとんど変わらない人もいました。本剤を飲んで、「体重は減らないが、お腹のあたりがすっきりした」という声もありました。ただ、体重そのものが減るよりも、内臓脂肪が減ることのほうが大切です。

 ――肥満にもいろいろなタイプがありますね。

〈和田〉 九味半夏湯加減方は、脂肪と水太りの中間の肥満に効果があるようです。消化・吸収がよく、ぶよぶよと太るタイプです。
 本剤が脂肪と水太りの中間の肥満に効果があることは、今回の試験結果においても明らかになりました。皮下脂肪と内臓脂肪を合わせた全脂肪面積は試験前後で10cuの減少、そのうち内臓脂肪面積は5cuの減少でしたから、差し引きすると皮下脂肪面積も同じ5cuの減少だったわけです。本剤は過食による肥満を基盤とした糖尿病、高脂血症、動脈硬化性疾患に投与されるとよいと考えられます。


各成分の肥満改善効果を考察
 ――各成分についてはどうお考えですか。

〈和田〉 九味半夏湯加減方の体重減少効果は、沢瀉が積極的に利尿し、猪苓が体内に貯留した水分を体外に排泄し、牡丹皮、芍薬が滞った血液を循環させて血液中の脂肪分を排出させます。それらの複合的な効果で脂肪過多を改善すると考えられます。
 臨床医科学研究所で行われた本剤のラットへの投与の内部実験では、高コレステロール飼料を与えた結果、非投与群に比し本剤の同時投与群では、用量に比例して体重抑制効果があったとの結果が出ています。
 沢瀉については体重に関する試験も報告されていまして、沢瀉末を飼料に混入することによって脂肪肝の蓄積が抑制され、さらに体重増加も抑制されたそうです。その成因として、食餌から吸収された脂質、あるいは肝臓内脂質の合成抑制などが考えられています。

 ――今回の試験のまとめをお願いします。

〈和田〉 九味半夏湯加減方は一般用医薬品として『扁鵲』という名称で「脂肪過多症」を効能として市販されています。
 今回、本剤を8週間使用して、その効果判定を行いましたが、その結果、体格指数であるBMI25s/u以上の肥満群では、有意なBMIの低下を確認しました。さらに、体脂肪率も有意な減少を見ました。また、当初37人という人数での試験であったため、始めは内臓脂肪面積でも、はっきりとした減少が生じました。
 本剤は生活習慣病の元凶である肥満の改善に有用な漢方薬であることを確認しました。

 ――ありがとうございました。


【試験方法】

 服薬前と服薬後のデータをWilcoxonの符号付順位和検定で統計解析した。結果は平均値±標準偏差で表した。危険率5%未満を統計学的に有意差ありとした(プリントアウトの同順位補正後のP値が0.05未満の場合、統計学的に有意差ありと判定する)。統計ソフトはStat‐View5.0(Abacus Concepts Inc.,USA)を用いた。

【和田高士(わだ・たかし)先生】
 1956年生まれ。86年東京慈恵会医科大学大学院卒業。2000年同大助教授、同大附属病院診察部長。日本生活習慣病予防協会理事、日本未病システム学会評議員、日本セルフメディケーション協議会理事。著書『セルフメディケーションで治す未病125』(じほう)、『検査と数値を知る事典』(日本文芸社)ほか



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